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2009年04月21日

白内障手術 経過報告その1

にぃにぃの成長日記の中で、
この事だけは詳細に書きとめて
置かなければならない『白内障』の事。

様々な人から、にこちんのその後の経過はどうかと
温かい言葉。
ありがとうございます。

心配をかけてしまってすみません。

そのためにも。


今後、このようなことが起きないことを願い、
『白内障』手術を考えているオーナーに方への
ある種の使命感すら感じながら、
事実を記載しておきたいと思う。


文京区にある眼科専門のT動物病院で、
『先天性白内障』と診断を受け、
白内障手術を受けたにぃにぃは、
術後の経過は『手術記録』でも記載したように
思わしくなかった。

具体的には、すぐにまた白濁が生じ、
明らかに見えていない様子だった。

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また、数時間ごとの点眼の在宅治療に、心身共に休む間もなく、
正直本当に大変だった。

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ある程度は予測していたものの、
こんなにも大変な事だとは思わなかった。
共働きのオーナーさんは絶対にできないと思う。

にぃにぃも相当ストレスを感じでていたのか、
健側の右目の眼瞼下垂を併発した。

そして、なによりも気になる術後性結膜炎と
予想外の縮瞳が続き3週間たってもおさまる事がなかった。

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結局、こうなった理由をいろりろと質問していく中、
なかなか明確な回答が得られず、
私の眼科の知識習得にも拍車もかかり、
先生が困惑する場面が多くなっていった。


次第に術後のにこちんの診察の際、
若い先生に私は席をはずすように命じらるようになった。

ただえさえ心身共に疲れ果て、
診察を嫌がるにこちんを一人にさせるわけにはいかない。
にぃにぃを心のそこから守り、
代弁してやれるのは世界中探したって、
自分しかいない。


第一、そんな事を命じられる飼い主は私だけであった。

益々、不信感をあおる事態が生じていた。


にぃにぃを一人で診察することに最後まで同意せず、
診察に同行することを強く希望し続けた。

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そして、いつまでも様子をみましょうとの説明に、
先行きならぬ不安が増し、
今後の治療計画を教えて欲しいと強くお願いした。


すると、今回、このような結果になったのは、
おそらく食事から摂取される脂肪が蓄積して起きる炎症のためで、
ステロイド点眼をさらに数週間行い(その時点で3週間は経っている)
その後引き続きNASIDs(ボルタレン点眼)の継続と、
食事制限、中性脂肪(正常値内であるが)をさらにおさえようと、
リポクリン(脂質改善薬)の経口摂取を数か月継続するとのことであった。


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この回答を予想していた私は、
世界中の医学文献を検索できるPub Medから、
このことについての論文を手当たり次第探していた。

結果は、人のデータを含めたった2件の症例報告だけがヒットした。

知り合いの眼科のH教授にご教授いただき、
我が家の犬の事で大変申し訳ないと恐縮したが、
教授はいろりろな見解をご教示して下さった。

脂肪組織がない角膜になぜ脂質(TG)が沈着されるのか。
仮にもしこのTGが原因だとしたら、
反対側の健常側にはなぜ起こらないのか?
ステロイドを根拠のない炎症に
こんなに長く使用していいのだろうか?

など様々なの問いをS院長に投げ掛けた。

すると『おっしゃる通りで、
何のエビデンスも示す事はできないが、
私たちの経験でそうしている』との返答だった。

医学的に根拠を示すことができない。
これを治療と呼べるのだろうか?
もはや治療ではなく実験に等しいとしか思えなくなってしまった。
そんな治療に正し結果が得られる気はどうしても起こらなかった。


この考えのもと、今後の加療を受けることを断った。

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しばらくの沈黙の後、院長のS先生は、
スタッフに席を外させ、
視線をにぃにぃの術後のスリット写真(眼球の写真)
を見つめたまま、淡々と話し始めた。

正直、これ以上自分に説明できるだけの知識が、
恥ずかしながらないということだった。

当然、前もって命がげで私も勉強していった。
そんなにわか勉強の浅はかな私の知識に答えられない?

完全に『敗北』であると目の奥が語っていた。

間違いなく経験と感覚だけで治療を行う、
臨床一筋であることが、その言葉から伺えた。

私はS先生の鼻を負かせようとか、
プライドを傷つけようとか、そう言う気持はなかった。

ただ、にぃにぃに何が起きているのか、
その事実を素直に教えてもらいたかった。
素人だから、犬だからと言って隠そうとする姿だけは、
決して許すことはできなかった。

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最後に、どうしてもにぃにぃは見えていないと思うので、
そのことだけは証明して欲しかった。

私の方から、US(エコー)で網膜剥離が起きていないか、
確認してもらうようにお願いした。

S院長は目線を合わせることなく私の依頼を引き受けた。


そこでも、席をはずすように若いDrが私を止めたが、
それを拒む私を見てS院長は
『どうぞ』とにぃにぃの傍にいる事を許してくれた。

検査の間、もう極限にきていることを示すかのように、
にぃにぃは失禁してしまった。

何度もUS画像をみるだけで、
なかなか説明しようとしない
S院長の長い沈黙に私は動揺しなかった。


十分説明されなくても、
エコーを読影できるように私もなっていたから。


私の方から間の悪そうな沈黙を破った。

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にぃにぃの網膜が一部剥離している
と指摘した。



残念ながら、見えていないということはないが、
一部分だけ確かに網膜剥離を併発していると認めた。

この先、これが進行すると完全に失明することがあるかとの問いに、
S院長は静かに首を縦に振った。


想像していた通りの事が、起きていた。

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もっと早くに術後この検査をして、
もっと早くに何か手を打つことが出来なかったのか。

ただただ悔やんで、自然に涙があふれてきた。

わかってはいたし、心の準備もしていたが、
深い悲しみが予想を超えた大きさで押し寄せてきた。

私は涙を拭うこともせず、その場を立ち去った。


全身の力が一気に抜けて、混みあった待合室で立っているのが、
やっとだった。

大の男が待合室で泣いた。

今後の予約もとらず、薬も受け取らず、
私もにぃにぃも、この病院に来る事はないことを確信した。
いつも高額の領収書を渡すだけの受け付けの人は、
最後まで『お大事に』の一言も言わなかった。

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大粒の涙で視界が狭くなっていたせいで、
近くの駐車場に着くまで時間がかかってしまった。

車の中でchi-koにすぐに電話をした。
その声を聞いた瞬間、嗚咽してしまった。


chi-koの声は優しく『はやく帰っておいで。疲れたでしょう。
にぃにぃもよっちゃんも良く頑張ったよ』
と労わりの言葉が、家まで帰る勇気をつないでくれた。


今後、どうすればいいか冷静に考えられるようになるまで、
すこし長くかかってしまった。

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何事もなかったかのように、
いつもと変わらず振る舞うにぃにぃの姿を見るたびに、
とても胸が痛んだ。


このT病院でかかった眼科治療費


2006年 初診 
5月15日 22155円
6月13日 8295円
9月 6日 5145円

2007年
4月23日 8095円
9月25日 8085円

2008年
3月25日 11235円
9月24日 9660円
11月 4日 33285円
11月19日 381104円 Ope
11月20日 5670円
11月24日 6562円
11月26日 8641円
12月 3日 9754円
12月22日 7581円
       
合計 525267円



莫大なお金も時間も体力も知識も、
そして何よりも我が子の様に可愛い愛犬を
心から愛する力がなくては、
この手術を安易に受けさせることではないことを、
私は強く感じた。


そして、獣医師と呼ばれる人が、
商売として利益追及のみに走ることなく、
飼い主本位の心ある『医療』を提供してくれる日が
来ることを心から望んでいる。

犬は主人に無償の愛を捧げる。
どんな苦境も飼い主と一緒なら、
喜んで受けいれることができる。


人間と犬の違いは、自然の摂理を
純粋に受け入れることができること。

飼い主がそれをどこまでも強く信じ、
愛に満ちた心で受け入れてあげることも
大切なことなのかもしれない。

自分たちがにぃにぃの白内障手術をすると選択したことが、
間違っていたと深く傷ついていた時、
誰かが優しく教えてくれた。

『真剣ににぃにぃのためを思って、悩んだ末に選んだのだから、
間違ってはいなかった。
ただベストな結果が得られなかっただけ。
手術をしなくても、受けさせてあげたかったと
ずっと思うことになる。それだけにぃにぃの事を
思っていることが、僕にもわかるぐらいだから、
にぃにぃはもっと分かってくれているはず。だから大丈夫。』

その言葉に、今までの救われない気持ちが、
一気に報われたかのように感じた。

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これだけ深く強い信頼関係で結ばれていることを、
噛みしめて、前に進むことにしよう。

そう、ニコチンははじめからわかっていた。
どんな結果でも、その気持ちは永遠にかわらないことを。
そして何よりもそれを主人から
感じ得ることができることを、喜びとしている。


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この事を通して、家族の絆がまた深まった。
にぃにぃがまた一つ大切なことを教えてくれた。

ありがとう。にぃにぃ。





ニックネーム yo4 at 23:59| Comment(10) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする